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記事一覧

書評:大月康弘『世界史リブレット人 ユスティニアヌス大帝 世界に君臨するキリスト教ローマ皇帝』

書評:大月康弘『世界史リブレット人 ユスティニアヌス大帝 世界に君臨するキリスト教ローマ皇帝』久しぶりのブログ更新である。世界史リブレット人シリーズで唯一とも言えるビザンツ関連の人物を扱う書籍が刊行された。ユスティニアヌス大帝とその時代についてはビザンツ帝国史の一部として日本語で読める情報が既にある程度まとまって存在しているが、その多くがビザンツ帝国史の通史の一部分か、より部分的なものが殆どである...

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書評:小笠原弘幸『ハレム 女官と宦官たちの世界』

書評:小笠原弘幸『ハレム』買ったものの諸事情あり長らく手をつけてなかった文献の一つだったのでこれを機に読んで紹介したい。凡そこの本ほど色んな他地域他時代の歴史を専攻する人に読んでもらって、その人毎の知見を聞いて回りたいと思える文献はなかなかない。なんなら歴史の枠を超えてトルコ語やペルシア語を囓っている人にも読んでもらいたいと思うぐらいだ。難しい内容の本ではないが読書会向きである。ポンティアノスも本...

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ベイオール、アレクシオス王子の邸宅説について

1261年の7月25日はミカエル8世の配下の将軍アレクシオス・ストラテゴプーロスがラテン帝国の手から君府を奪還した日である。今回は君府繋がりで、『物語 イスタンブールの歴史』に見られるベイオールの由来の一説についてより掘り下げる。本書においてはベイオールの名前の由来の一つとしてトレビゾンドのアレクシオス王子の居城説を書いていた。そこに拙書評において、そもそもこの説の根拠とする「アレクシオス王子の居城」に想...

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書評:鈴木董『食はイスタンブルにあり 君府名物考』

書評:鈴木董『食はイスタンブルにあり 君府名物考』1453年の5月29日はオスマン帝国のメフメト2世が君府、すなわちコンスタンティノープルを征服した日である。メフメト2世関連の近刊情報を挙げるとすれば、近日濱田正美氏によるトゥルスン・ベグの『征服の父 メフメト2世記』の邦訳が出版される。この史料はメフメト2世のトレビゾンド征服についても詳細な情報を提供するものとなっている。また本史料は写本からの完訳をしてい...

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書評:田中創『ローマ史再考 なぜ「首都」コンスタンティノープルが生まれたのか』

書評:田中創『ローマ史再考 なぜ「首都」コンスタンティノープルが生まれたのか』‏三二四年から建設が開始されたこの町は、三三〇年五月十一日にその完成が祝われた。世界史ではしばしばこの都市の建設をもって、ローマからの遷都がなされたという説明がなされる。また、後に中世世界まで活発な活動を続けるローマ帝国はビザンツ帝国の名で呼びならわされるが、このビザンツ帝国の始まりもコンスタンティヌスと彼の都を目安とす...

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プロフィール

pontianus

Author:pontianus
在野でビザンツ帝国とイスラーム世界との接触地域、特に小アジア黒海地方と関係する諸政権を中心に研究しています。